こんにちは。
小冊子集客入門塾 アート印刷の十河です。
今日は、読み終えたばかりの本を紹介します。
その本のタイトルは
『ペーパレス時代の紙の価値を知る』
著者は
旧・富士ゼロックス(現・富士フイルム)の
2人の研究者です。
この2人の研究テーマは、
ペーパレスワーク、ペーパレスオフィス、
バーチャルオフィスなどで、
バリバリのデジタル推進派。
ところが、
紙と人間の関係性を研究する中で、
まったく逆の結論にたどり着いたというのです。
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本の冒頭に意味深なことが書かれていました。
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ひとつ重要なことをお伝えしたい。
本書は、電子書籍と紙書籍の2つの
メディア形式で出版する予定である。
電子版は、検索、リンク、辞書、表示の拡大、
テキストの読み上げ、共有ブックマークなど、
数々の便利な機能を備えていることだろう。
電子書籍は即時に入手でき、
複数の表示デバイスで読め、
保管スペースのことを考えなくても済む。
たぶん価格もいくぶん安いだろう。
こうした利点を享受したい人には、
電子版をお勧めしたい。
しかし、もしあなたが、
本書の内容をしっかりと理解し、考え、
長く記憶にとどめたいと考えるなら、
私たちは紙の書籍をお勧めする。
その理由は本書を読んで理解していただきたい。
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著者の
「しっかり理解し、長く記憶にとどめたいなら、
紙を選ぶべきです」
という言葉に私は衝撃を受け、読み進めました。
紙に触れる、紙で読む、紙に書く——
その行為が、どれほど人の記憶力、理解力、
そして思考力に関わっているのかを、
実験データをもとに解き明かされていました。
そして巻末には
「人間の脳と心は、思っている以上に
“紙”に育てられてきたのかもしれません」
と記されてありました。
私が、この本を手に取るきっかけになったのは、
次の2つの現場の声からでした。
ひとつは、
『北欧の教育現場』から届いたニュースです。
ノルウェーやスウェーデンでは、
いち早くタブレット学習を導入したものの、
学力低下や集中力の欠如、短気になる、
視力低下などが問題となり、
再び「紙の教科書」に回帰する動きが
進んでいるそうです。
もうひとつは、
地元・香川県内の小学校を巡回して、
1年生、2年生にスポーツ指導をしている知人の話。
小学校へのタブレット導入をいち早く進めた
ある町では、以前のような元気さが
子どもたちから消えたと言うのです。
たとえば、1年生・2年生に
「朝ごはん、しっかり食べた?(」と声をかけると、
昔は「ごはん3杯食べた!」と手を挙げて、
元気いっぱいに反応してくれていたのに
今では反応が鈍い。エネルギーがない。
その指導者は、
「これはタブレットの影響だろう」と
直感したそうです。
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紙というのは、空気のように当たり前すぎて、
その価値に気づきにくい存在です。
ですが、「記憶に残す力」「心を動かす力」
「伝える力」「人へのやさしさ」において、
やはり独特のチカラがあります。
これからは
デジタル・ITと紙・アナログの
それぞれの良いところ、悪いところを、
「正しく見極める目」を養わなければならない。
上手に使い分ける能力、上手に組合わせる力を
身に付けなければならない。
そうすることが、
私たち人間の「幸せ」や「豊かさ」に
つながっていくのではと強く感じました。